犬の慢性腎臓病の急性憎悪に対する漢方薬経腸投与の治療効果
臨床研究の概要
犬の慢性腎臓病の急性憎悪や尿毒症は命を落とす可能性のある病状です。点滴などの一般治療で改善しない場合は血液透析・腹膜透析・腎移植がありますが、ペット医療では設備・麻酔リスク・合併症・高額などの理由で実施は限定されています。
本研究では、人で実施されている漢方薬経腸投与を犬で1日2回4日間実施し、急性憎悪や尿毒症を回復する治療法としての確立を目指します。経腸投与動画を参照。
有害作用は主に下剤漢方による下痢で、腎臓病による下痢以外は経腸投与中止と下痢止めで治ります。飼い主様のご要望による投薬中止はいつでも可能です。
本試験は鳥取大学農学部動物臨床研究倫理委員会の承認を得て実施しています。
漢方薬経腸投与を始めた経緯と想い
初めての漢方薬の経腸投与は10年ほど前に近所に住んでいる猫ちゃんが尿毒症で瀕死の状態になり命を救いたいという飼い主様のご希望でした。漢方経腸投与は中国の人医療では2000年前から現在まで行われていて、約60年前からは周囲に病院がない尿毒症の人の治療として人工透析の代わりをしてきました。この治療法を師匠の腎臓病専門の上海中医薬大学日本校教授や腎臓病研究で近大東洋医学研究所に留学してきた中国医師から直接ご指導いただきました。瀕死の猫ちゃんは、食欲元気正常、貧血改善、体重増加を9か月間保つことができました。
その後、慢性腎臓病の急性憎悪や尿毒症の犬ちゃんにも漢方経腸投与を行ったところ、猫ちゃん以上に回復する確率が高いことが分かりました。学会での発表後は全国からの問い合わせが月1~2回ほど続き気が付けば100例近くになりました。急性憎悪や尿毒症を乗り越えると体重増加で長く生きるペットもいれば、末期での治療のため亡くなることもあります。いずれも活気が出ることは多く、亡くなったペットの飼い主様から痙攣が収まり目の輝きが出て穏やかに旅立てましたと感謝され、全国のペットたちで実施できる治療になってもらいたいと言われることも増えました。
そこでペットでも安全性と有効性を確認して認知された治療法にできればと母校の教授にご相談して大学院に入学することにしました。若い先生たちと一緒に学習や研究はなかなか厳しいものがありましたが臨床研究を開始できることになりました。大学を含めて協力病院と協力獣医師も参加していただいています。
私はかけがえのない命を救いたい想いで治療や研究をしている一臨床医です。臨床研究と聞くと飼い主様の最愛のペットが実験されるようで嫌だと思うのは当たり前だと思います。ただ目の前のペットの命を救う一つの治療法として見ていただければと思います。この臨床研究は大学内外の厳しい倫理審査(倫理的な問題があれば指導されます)にも通過しています。有害作用は主に下剤漢方による下痢で、腎臓病による下痢以外は経腸投与中止と下痢止めで治ります。飼い主様のご要望による投薬中止はいつでも可能です。
お気軽にご相談ください。
研究期間
2026年3月31日~2028年3月31日
対象となる患者様
以下の条件の犬が対象となります。(条件外では通常の漢方治療となります)
・元々アイリスステージ2~3の慢性腎臓病で、急激に腎臓病の症状(食欲低下、嘔吐など)の悪化とクレアチニンが25%以上上昇。
・重度の併発疾患(ACTVIMステージB2以上の僧帽弁閉鎖不全症、悪性腫瘍など)がない。
・さらに3日以上の輸液治療で改善が認められず、軟便または下痢ではない。
★しばらくの間はみのり動物病院へ通院可能な飼い主様に限定させていただきます。
費用について
臨床研究中の漢方薬に関しては鳥取大学が費用を負担いたします。通常範囲内の診察や検査費用は自己負担となります。
お願い
本研究のデータは、飼い主様の個人情報を除き、今後の獣医療の発展のために学会や論文などで発表・公表させていただくことがございます。ご了承お願いいたします。
問い合わせ先
みのり動物病院:基本的にこちらにお願いします。
担当獣医師:吉村佳美
Tel:072-972-2100
メール:お問い合わせ | みのり動物病院
鳥取大学農学部附属動物医療センター
担当獣医師:竹内崇 (教授)
Tel:0857-31-5645
メール:take3@tottori-u.ac.jp
参考資料
・漢方薬経腸投与のQ&Aブログ
・腎臓病の漢方治療ブログ
・漢方経腸投与の症例ブログ
・漢方経腸投与の学会セミナー発表
・犬での実績表:作成中

