煎じ薬は、ご存じでしょうか?
植物・動物・鉱物の天然産物を水で煮出して作った液状の薬で、湯薬とも言われます。
古代から続く伝統的な漢方の形で、中国では現代でも多用されています。
技術習得・調合・煎じ方・保存は、いずれも手間がかかります。
技術習得は、教科書だけでなく師匠から学ぶ必要があり、私も上海中医薬大日本校教授に師事してますが、何年経ても習得しきれないのが現実です。60年以上の老中医師でも杯のおちょこぐらいの知識しか得られないという世界です。
調合は、体質・病状を見て、治療原則・古典・師匠の組み合わせなどをヒントに、生薬の種類・量などを、オーダーメイドで組み合わせます。再診毎に、病状の変化に合わせて種類・量を微調整します。ペットは体重が軽く生薬量が少ないため、細やかな計算と手作業の調合になり、2週分作るのに30分以上要します。
煎じ方は、生薬を水に入れて30分ほど煎じます。生薬の種類や求める効能により煎じる時間が異なるため、時間をずらして加えることもあります。自動煎じ器を利用すると手間が省けます。
保存は、湿気に弱いため時々陰干しをしたり、臭い・色などを定期的にチェックするなど、米・豆と同様の気遣いをします。
以上の手間を要したとしても、煎じ薬が3000年以上受け継がれているのはなぜでしょうか?
その理由は、加工が少ないので本来の薬効が発揮されやすい、吸収・効果が早い、必要な生薬の種類・量で作るので体質・病状に合いやすい、エキス剤や錠剤にない生薬を加えることができるなどがあります。
当院でも煎じ薬服用により、翌日には病状が軽くなる、複雑な難病が治癒、温熱や寒冷効果がしっかり出る、毛艶や活気が若返る、重い病気でも穏やかにゆっくりと大往生するなどが認められます。特に尿毒症の直腸透析では、煎じ薬でしか効果が出ない感じがします。
ペットも、苦手な子もいますが、体が求める漢方は意外と好んで服用する傾向があり、煎じ薬の皿をなめつくす子もいます。
煎じ薬は手間がかかり能率はとても悪いのですが、現代医学では得られない自然の力の偉大さを感じる伝統技術を引き継いでいければ良いなと私自身は考えています。
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