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犬(せんちゃん)の蛋白漏出性腸症疑いとステロイド糖尿病の漢方治療

2024.02.15

犬 トイプードル 推測7~8才? 女の子

せんちゃんは保護カフェ入居3日目に今の飼い主様に出会い家族になりました。

お家に来て1ヶ月半後から元々の軟便が酷くなり嘔吐も始まりました。他院で蛋白漏出性腸症と診断されて、ステロイド剤、免疫抑制剤、消化酵素剤の投与と消化の良いドックフードに変更しました。便は一時期に改善したけれど、投薬4ヶ月後には、軟便が漏れる、お水をよく飲む、尿量が多い、視力が落ちて、体重が減り、立ち上がれなくなりました。

当院に来た時は、体重1.1kg(本来2~3kg)で毛が薄くあばら骨が見えている状態でした。大きい病院で検査を受けるとステロイド剤関与を疑う糖尿病と診断されました。当院の検査では、肝臓が小さい、腹水少量、膵臓検査は正常値、低体温、脈拍が遅い、血流が悪い結果も出ました。

下痢を治して低蛋白血症を改善、肝臓のケア、免疫調整の漢方治療をしながら、ステロイドを減量していき、インスリン注射も始めました。漢方開始1週間後に便は固まり、2週間後にはよく歩いてほえるようになりました。漢方開始1ヶ月後に免疫抑制剤を、2ヶ月後にはステロイド剤を、3ヶ月後には消化酵素剤をやめました。途中、糖尿病用フードに変更して、インシュリンを1日2回にすることで血糖値も糖化アルブミン値も安定しました。

漢方開始5ヶ月を経た現在は、体重1.7kgに増加、毛もふさふさに生えて、便は正常が続き、水を飲む量と尿量はやや減り、検査値も血糖値と尿糖以外はほぼ安定しました。糖尿病による白内障で視力低下はありますが、元気に歩き回り不自由なく暮らせるようになりました。

☆ステロイド過剰~不要投薬による副作用問題が後を絶ちません。薬効消失後もステロイドや免疫抑制剤を継続投与により免疫低下と糖尿病発症を生じた可能性を感じました。特に蛋白漏出性腸症や慢性腸症の診断は曖昧さがあり本当に免疫抑制作用の薬剤が長期間必要なのだろうかと疑問を持っています。当院ではこれらの疾患の漢方治療は20例近くありますが、腸リンパ腫と末期を除いてほぼ全犬でステロイド剤や免疫抑制剤を減薬~中止しています。漢方つれづれ「ステロイド剤と免疫抑制剤について」も参照して下さい。

   ステロイド・免疫抑制剤服用中     漢方服用&ステロイド・免疫抑制剤中止後

   

当院について

みのり動物病院

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