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犬(シフォンちゃん)の水頭症・脊髄空洞症・脳梗塞・肝胆疾患の漢方鍼灸治療

2023.02.12

犬 トイプードル 9才 女の子

シフォンちゃんは、よく似たプードルちゃんたちと一緒に暮らす京都の女の子。

7ヶ月前に、頭が左下に傾く、上半身の震え、下半身に力が入らずふらつきがある、くるくる回るのが目立つ症状が生じたため、神経病センターでMRI検査と脳脊髄液検査を行いました。尾側後頭部奇形症候群(キアリ様奇形)に関連した水頭症および脊髄空洞症と多発性のラクナ梗塞(3カ所に脳梗塞)と診断されました。

脳梗塞の血栓形成の原因として様々な検査が実施されましたが、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、心疾患、高血圧、ネフローゼ症候群、蛋白喪失姓腸症などの診断には至りませんでした。抗痙攣薬やミミズのサプリメントを服用し徐々に回復しました。

1ヶ月前に震えと目の揺れが再発したため脳圧降下剤が追加されると症状が改善しました。検査にて肝機能不全や門脈体循環シャントが疑われたが、CT検査や肝生検は希望されず担当医も全身麻酔はしない方針でした。アンモニア値を下げる薬と整腸剤、アミノ酸サプリメント、肝臓用療法食の処方が加わりました。

当院に来院時は、眼の揺れ、頭が左下に傾く、後ろ足が弱くふらつきながら左回りに歩く、物音に敏感、ずっと寝ている、暗いところに行く、怒りっぽい状況で、肝不全による突然死をご心配されていました。元気をつけて、脳の水分代謝や血流を改善し、ふらつきや肝胆の機能を改善する、漢方鍼灸治療を行いました。

2週後の再診時には、全ての症状が軽くなり大きい声で鳴く元気が出ていました。以降1ヶ月毎に京都から来院するたびに症状がなくなっていき、副作用の少ない薬でコントロールしたいご希望によりかかりつけ医とご相談しながら抗痙攣薬と全てのサプリメントを終了しました。アンモニア値を下げる薬を止めると数字が少し上昇したので半分量を再開し脳圧降下剤も続けています。

当院初診から9ヶ月経過した現在は、台風が近づいても頭が傾くこともなく、怒らなくなり穏やかな性格に戻り、病院でもまっすぐ小走りできるようになりました。アンモニア値も正常、肝胆の値もやや高めだが安定しています。

これからもご家族皆と一緒にずっと楽しく暮らせるように願いつつ、脳脊髄や肝臓の病気の症状が出ないようにコントロールしていけたらと思っています。

 

※水頭症と脊髄空洞症のチワワで症状消失後にMRIを実施したところ症状がある時と同じ画像結果でした。漢方鍼灸治療では構造的な完治は難しいが症状は軽減消失できるのではと考えています(同様の病気の漢方治療10数例のうち9割以上が症状軽減消失)。急性で重度な神経症状では西洋治療が必要と思われますが、軽症や慢性難治性では長期服用でも副作用が出ないように処方できる漢方鍼灸治療は有用かと考えます。

また同様の病気で西洋治療ではステロイド剤を用いるマニュアルがありますが、かかりつけの西洋医も当院もシフォンちゃんに処方していません。当院の漢方鍼灸治療を併用するペットの多くは、ステロイド剤を使用しないでもしくは減量~離脱していますので、水頭症や脊髄空洞症では副作用を発症するほどの薬用量は必要ではないと思います。

 

 

当院について

みのり動物病院

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