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犬(ココちゃん)の蛋白漏出性腸症(腸リンパ管拡張症疑い)と蛋白漏出性腎症(ネフローゼ疑い)の漢方治療

2022.07.10

犬 ヨークシャテリア 4才~現在5才 女の子

ココちゃんは、去年の年末から嘔吐・下痢・腹水の症状と重度の低蛋白血症(アルブミン1.2g/dl)で京都の病院に入院しました。超音波検査から腸リンパ管拡張症が疑われ、腹水を抜いてステロイド剤と免疫抑制剤を約10日間投薬され、低脂肪食(とりささみ、じゃがいも、米)にされました。アルブミン1.6g/dlにやや回復しましたが、下痢・腹水は続き元気もない状態で退院しました。

西洋医学的には治療困難のため、かかりつけ医の了解を得て漢方治療に来院されました。当院での血液検査でもアルブミン2.0g/dlの低値でSDMAとリンが高値、尿検査で尿蛋白多量(UPC 17.25)が見られたため、ヨークシャテリアで見られやすい蛋白漏出性腸症(腸リンパ管拡張症疑い)と蛋白漏出性腎症(ネフローゼ疑い)の併発と診断しました。ネフローゼ症候群とは、重度の蛋白尿、低蛋白(アルブミン)血症、浮腫・腹水、高脂(コレステロール)血症の症状を伴う病気のことで、ココちゃんは糸球体腎炎の可能性が疑われました。

胃腸機能を回復し消化機能を改善して蛋白漏出を防ぐ、腸の炎症を抑える、余分な水分のみを利尿させる漢方薬を処方しました。白血球高値のため抗生剤と、下痢と漢方薬吸収に良い整腸剤も併用しました。10日後の再診時には鳴く元気が出てアルブミン値2.7g/dlの正常値に、さらに2週後には腹水消失し便も正常の硬さになりました。

BUN高値が続き貧血があり便が黒色のため消化管出血を疑い、また低蛋白血症・ネフローゼによる血栓形成予防と血流が悪い脈が取れるため、かかりつけ医に相談するとステロイド剤を減薬終了されました。また、アミロイドーシスの可能性も相談し免疫抑制剤も減薬終了されました。腎臓などの炎症を抑える漢方薬を強化しました。

その後のココちゃんは、ますます元気になりました。血液検査も、貧血、肝値、SDMA、リン、BUNの順で正常化しました。尿蛋白(UPC)も漢方治療開始後6ヶ月で正常値になりました。

目下の心配は、体重が増えすぎて中性脂肪値が高くなっていることです。炎症に火がついて免疫異常を起こし再発しないよう、今度はダイエットに励んでいるココちゃんと飼い主様です。

☆ココちゃんが順調に回復できたのは、効果が出なかった西洋薬(ステロイド剤・免疫抑制剤)の減量~中止のかかりつけ医の判断があったためと考えています。漢方治療を含めて西洋医学以外の治療法でステロイド剤や免疫抑制剤を離脱できることは多々あります。西洋医学のマニュアルに囚われすぎず、基礎に立ち戻って病状をよく観察する臨床医としての冷静な判断が必要とされています。

当院について

みのり動物病院

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