学会等の学術発表実績
「漢方治療が奏功した難治性歯肉口内炎の猫の2例」
Complete recovery from refractory Gingivostomatitis by herbal medicine in two cats
要旨
難治性歯肉口内炎の猫2例に対し漢方治療を行った。症例1は、全臼歯抜歯術と内科治療を1年6ヶ月間行っていたが、潰瘍・出血を伴う歯肉口内炎が持続し、眼瞼の発赤腫脹痒み、腹部脱毛、毛をなめ続ける、引きこもるが認められた。
アレルギー症状と神経過敏行動によると考え、皮膚・咽喉・口腔の病状に対応する荊芥連翹湯(ツムラ)を主体に投薬した。症例2は、全顎抜歯術と内科治療を4年5カ月間行っていたが、潰瘍・出血を伴う歯肉口内炎が持続し、嘔吐、軟便、舌糸状乳頭萎縮が認められた。過食による慢性胃腸炎によると考え、胃腸・口腔の病状に対応する半夏瀉心湯(クラシエ)を主体に投薬した。以上、食生活・精神的・アレルギー性の全身的な病態に対応した漢方治療の結果、難治性歯肉口内炎は症例1は約4ヶ月、症例2は約2年で消失し、その後症例1は1年6ヶ月、症例2は3年1ヶ月再発もなく良好に経過している。
~大まかな解説と補足~
猫歯肉口内炎は、世界中の猫で見られる重度の口内炎の酷い痛みで食べられなくなる病気です。抜歯により完治しやすいとされているが、全抜歯して内科治療をしても治らない難治性歯肉口内炎になる猫も多数います。病因は未解明ですが、人の口内炎の漢方治療の考え方に準じて治療すると治ったという論文です。
論文では、幅広い方に読みやすくするために東洋医学用語を省いていますが、数千年前の古い医学書に記載の肝臓や腎臓や肺などの全臓器の変調は経絡を通じて口腔に通じている考えを利用しています。また、上記の荊芥連翹湯や半夏瀉心湯のみで口内炎は軽減するかもですが、完治には体質や病状に合った東洋学的診断をして漢方薬の組み合わせや量を微調整しています。
当院では10数例以上の治療のうち遠方の1例を除いて改善しています。抜歯をしなくても口内炎が改善することもあります。
歯肉口内炎の治療のパラダイフシフトを試みてみました。
現在はステロイドやめた後の後遺症の薄毛も毛生え漢方でフサフサに。
もうすぐ漢方薬も終了できます。
学会等の学術発表実績一覧
- ★「漢方治療が奏功した難治性歯肉口内炎の猫の2例 Complete recovery from refractory Gingivostomatitis by herbal medicine in two cats(比較統合医療学会誌・論文)」
- ★「統合医療が奏功した医原性クッシング症候群の犬の一例 Complete recovery of iatrogenic Cushing syndrome by integrative medicine in a dog(比較統合医療学会誌・論文)」
- ■「弁証論治を用いたステロイド離脱回復の漢方治療(第21回日本補完代替医療学会・第62回比較統合医療学会・特別講演)」
- ■「漢方治療によるステロイド離脱回復症例(第61回 比較統合医療学会):大会長賞受賞」
- ■「犬猫の尿毒症などに用いる漢方の経腸投与療法(ペット中医学研究会・学術講演)」
- ■「猫の尿毒症に古典的中医学の煎じ薬を用いた浣腸透析(第59回 比較統合医療学会)」
- ■「犬の胆泥症(ペット中医学研究会・臨床応用講座発表)」