
犬 柴 15才~現在17才 女の子
むくちゃんは7か月令から17年間当院に来ている近所の女の子。
子供の時から便秘傾向の体質。むくちゃんの面倒を見ていたお父様が1年前に亡くなってから、怒りっぽく食欲のムラが出てきて最近は認知症気味に。慢性腎臓病はステージ2となり漢方・鍼灸治療をご希望されました。
漢方開始時(’24 6.6)に、便秘は尿毒症物質を作る原因となるので便通を改善する漢方内服で快便にして腎機能をコントロールしました。
約1年後(’25 5.2)に、歯が抜けて食欲低下、便秘、ゲップ、ふらつきが出て、ステージ4近くの急性憎悪になりました。急いで便通・腎血流改善・胃腸機能を改善する漢方エキス剤を経腸投与し、皮下点滴も併用しました。院内で2週毎に経腸投与と皮下点滴して、家では内服にしました。頻回に家で経腸投与できた1.5か月後(’25 6.19)にはステージ3になりました。

2か月後の真夏(’25 8.15)に、再度ステージ4近くになりました。下痢しやすくなり暑熱による脱水を考えて皮下点滴を週1回に増やし、経腸投与は止めて胃腸機能と食欲増進の漢方内服を加えました。しばらくステージ3(’25 10.16)で症状もぼちぼちが続きました。
7か月後(’26 3.17)に、再度ステージ4近くになりました。おそらく食べさせすぎて便が硬く出なくなり、多量の嘔吐の後、尿失禁、痙攣を生じました。尿毒症の痙攣も視野に入れて、即効性と効能が高い煎じ薬の経腸投与を1日2回5日間しました。便通、胃腸機能改善、腎血流改善、利尿、抗痙攣などの調合です。5日後には、痙攣や嘔吐はなくゲップが減り食欲も出始めました。下剤生薬を含むため1日下痢になったが経腸投与中止後に便も改善しました。皮下点滴は週2回に増やしました。
その後ステージ3(’26 4.9)になり症状も落ち着いていましたが、体重は徐々に減少して3.90kgになりました。胃腸機能改善、体温上昇、腎血流改善、尿毒症排泄、免疫調整、血を作って補う作用の漢方内服、週2回の皮下点滴、週1回の鍼灸を続けました。それからこの2か月間はとても安定した様子で、最近(’26 6.4)の検査値はSDMA33高、CRE2.04高、BUN32.4高、P3.6正、尿蛋白(-)のステージ2になり、体重が4.25kgに増えました!
元気な20才を目指して、むくちゃんと飼い主様と天国のお父様に見守られて並走できればと思っています。
※むくちゃんの腎臓病治療の一番のポイントは、便秘・下痢・嘔吐・脱水に対して胃腸機能や水和の調整により、腸内細菌叢の安定化にて尿毒症物質を減らして腎血流を保っていることです。漢方治療のみでなく飼い主様が飲水や食事内容・量・調理方法も上手に調整されていることも大切なポイントです。腎臓病治療のブログも参照して下さい。
※西洋薬と異なり腸粘膜への影響が少ない漢方薬の経腸投与は、慢性腎臓病の急性憎悪・嘔吐・痙攣時にとても役立ちます。むくちゃんでも2回ほど実施しましたが、その度に回復してくれて内服に切り替えています。 2回目の煎じ薬は臨床研究と同じ構成となります。経腸投与の詳細は、ただいま作成中です。


