漢方つれづれの記載はお久しぶりです。書きたいことは沢山あるのですが、診療第一なのでご無沙汰しています。
勇気を持って提議したいのは、ステロイド剤と免疫抑制剤問題です。
人医療の中で勉強しているためか、獣医療の臨床研究の少なさ、薬剤リスクへの関心不足、医療倫理の低さを感じます。その代表がステロイド剤や免疫抑制剤の過剰投与と思っています。
ステロイド剤の高用量投与は人医療では入院対応で、副作用のない免疫抑制剤はないと薬剤師グループから聞いています。まず基本的に副作用を出さないように薬剤処方するのが大前提とも聞いています。
獣医療では、効能ばかり追って副作用が出ても仕方ない(副作用が出る頃には効能はないはず)、減らしたり止めると病気が悪化すると説明されることが多いようです。薬剤による病気発生(ステロイド剤による医原性クッシング症候群、免疫抑制剤による若年での癌発病など)に関心が低いことに驚かされます。加えて副作用を効能に切り替える薬剤選択が多いのも特徴かと。
西洋治療反対派ではないので強い免疫抑制力が必要時は短期間や少量使用しますが、当院では漢方鍼灸食事などでステロイド剤や免疫抑制剤の減量や終了することが日常になっています。中には元々これらの薬剤を不必要とする病気であるペットも結構います。人医療ほど病気への研究が少ないためか原因不明の特発性~疾患が非常に多く、自己免疫性やアレルギーが病因の可能性となると、すぐにステロイドや免疫抑制剤の治療になり一生継続するしかないという言葉にビックリされて当院へ駆け込まれる飼い主様も多いです。
これらの薬剤は本来はもっと慎重に使うべきだし、減薬や止めれる手段をいくつかは持つべきかと思います。連携治療する中で、いくらかのペットが連携医の理解を得られずに、骨折や肝不全や癌などを発症する度に悲しい憤りを感じます。自分に当てはめて副作用症状で苦しくなっても服用し続けるでしょうか?
獣医療の治療マニュアルはまだ未熟と感じます。教科書などの基礎理論を見直して目の前の病気のペットと向き合えば、新しい治療法も見つかるのではとも感じます。ステロイド剤や免疫抑制剤の解説本も読んで見てほしいです。どういう仕組みで効能があるのか副作用について減量方法など詳細に記載されています。
獣医療の発展や倫理感が成長することを願うばかりです。
参照ブログは、「犬(せんちゃん)の蛋白漏出性腸症疑いとステロイド糖尿病の漢方治療」