漢方薬は副作用がありますか?
よく聞かれる質問です。
漢方医の世界では、生薬のアレルギーや毒性(百合は猫には有毒)以外は副作用という言葉はあまり使いません。
なぜなら体質と病気の変化に合わせて漢方薬を調整すると全身の生理機能が正常化するため、好ましくない症状は出ないはずなのです。
もし好ましくない症状が出た場合は、漢方の診断の間違いと判断し、薬の量や内容を再調整します。あるいは、あえて一時的に症状(湿疹、下痢など)を出して完治させる治療法があります。
また、獣医東洋医学研究会(現比較統合医療学会に改名)では30年以上、私の臨床経験でも15年以上、人の医療用漢方薬の使用においてアレルギーによる副作用は出ていません。
ではなぜ西洋薬は副作用が生じるのでしょうか?
西洋検査データを根拠に診断して一律した薬の種類と量を処方するからではないかと個人的には考えています。
個別化医療が発展し西洋薬やサプリメントも漢方薬のように個性に合わせて調整するようになると、副作用が緩和されるかもしれません。
ペット医療での過剰投薬による副作用を危惧しています。
西洋薬(ステロイド剤、免疫抑制剤など)の長期過剰投薬による副作用相談がとても多いです。経験的には西洋薬の効果がなくなると副作用が出てきて、元の病気よりも薬害で作られた病気が目立ってくることもあります。その場合は元の病気と薬で作られた病気を合わせた疾患として漢方治療を行うので時間を要します。
人医療では副作用を出さない方針のためステロイドの高用量投薬では入院して検査を重ねて経過観察しているようです。薬剤師が過剰服用のストッパーになっているのかもしれません。
獣医界には薬剤師はいないので、獣医師自身がストッパーにならないといけません。実際、薬の引き算をするだけで体調がよくなるペットも多いのです。必要な時には躊躇なく投薬すべきですが、効果が出ないのに継続すると薬害が出る危険があります。西洋医学のマニュアル通りが全てではなく、副作用の強い薬を使わなくても東洋医学で難病が治ることもよくあることを伝えていけたらと思います。
薬漬けでなく食事・運動・精神面のケアなどを含めた統合医療(各医療の垣根を越えて融合し患者中心の医療)を心がけることが今後の日本の医療界に必要なことなのかもしれません。