2020.09.14
猫 雑種 2才 女の子
ミロちゃんは、ある早朝に手足が異常に熱く、瞳孔が大きく開いて、口臭が強くよだれを垂らし、吐いた後があり、食欲元気がない状態になりました。
西洋検査の結果、腎臓の機能が非常に悪い状態で尿毒症と診断しました。2日間血管と皮下の点滴をしましたが皮下点滴が吸収されず尿は少ない状態が続き、超音波でみると尿がたまって腎臓が大きくなり血液検査値も急上昇し急性腎障害の状態でした。
直腸透析を始めました。直腸透析4日目には腎臓の数字が悪化(CRE 20.7 BUN 140以上 P15以上 K8.1 SDMA80 尿比重1.016)、黄疸(T.Bil 2.4)、呼吸が苦しそうで、体温が低下し、命の灯火が消えそうでした。急いで体を温める漢方薬を増やした直腸透析をしました。
その後、徐々に尿が出るようになり腎臓の数字も改善し、浣腸9日目には腎臓数値が正常化し黄疸もなくなった(CRE 1.4 BUN 19 P3.2 K3.0 T.Bil0.4)ので、直腸透析は終了しました。SDMA13、尿比重も正常値になり、超音波で腎臓は正常な大きさに戻りました。
腎機能が回復していく途中で、下痢、貧血進行、黄疸再発、肝臓数値の悪化、重度の舌炎と、様々な臓器の問題が次々と発症し、その度に漢方内服薬の調合を調整しながら治していきました。状況を見て補助的に、皮下点滴、整腸剤、抗生剤、胆汁の流れを改善する西洋薬なども併用しました。
漢方治療を始めて約3ヶ月で全ての検査は正常化したため、全ての治療は終了しました。
現在は、2才の若猫らしく同居の猫とじゃれあったりけんかをしたり元気に走り回っていると聞いています。
直腸透析の詳細は、<学術発表実績の猫の尿毒症、ブログの直腸透析の流れ・Q&A>を見て下さい。