犬のポメラニアンのタンコちゃんは、10才の女の子。
かわいがられるあまりいつも何かを食べ続ける生活を続け、体重が正常の2.5倍の5kgとコロコロと太ってしまいました。
3月のある日に突然、ふらつき、嘔吐、左側の手足が突っ張って動かなくなり、左手の先は内側に丸まり、ハアハア息をしながら横たわった状態で、動物病院に連れてこられました。
血液検査、聴診などを行いましたが、症状に合う検査結果でなく、目が縦に揺れ動くのも見られ、脳疾患を疑いました。
他院でのMRI検査をお勧めしましたが、おじいちゃんとおばあちゃんが飼い主さんのため、通院できる当院でできることをさせていただくことになりました。
中医学診断として、意識があるため中風の中経絡、いわゆる脳卒中の軽症と診断しました。
タンコちゃんの場合の原因としては、幼少時からの高カロリー食の食べ過ぎによる肥満と胃腸虚弱、高齢、春は風が体内に入りやすい季節、家ではなき続ける癖があることから、体内に生じた痰湿が春の肝の風により頭へ舞い上がり、脳への気血の通路を塞いだのではと考えました。
肝風を去る、胃腸を整えて痰湿を取る、脳の血流を良くする漢方と鍼灸の治療を行いました。
治療1日目の夜には目の揺れがなくなり、左手も少し動き始め、呼吸も落ち着きました。2日目には座れるようになり、日に日に元気食欲が回復と共に症状が良くなり、10日目には全ての症状がなくなり普通に歩けるようになりました。
これからは再発予防を中心とし、炭水化物を減らした適量の食事にしていただき、根本原因である気や血の不足を補い血流を保つ漢方鍼灸治療をしばらく続けていただくことになります。
そろそろ、おじいちゃんの将棋会館のバス時間に合わせてトリミングでの預かりを再開できそうですね。
足元が多少おぼつきながらも、おじいちゃんの後をうれしそうに歩けるようになったタンコちゃん