人医療でもまだ整理不十分です。ツムラ学術部(日本の漢方薬エビデンスを総括)情報では、漢方薬は西洋薬と作用機序が異なるため相互作用の問題は生じにくいエビデンスが多くあるそうです。
【例】以下の厚生労働省の報告で多い西洋薬使用時は漢方薬を調整しますので、飼い主様を通じてもしくは直接お伝え下さい。添付の例もご参考にして下さい。
➀西洋薬の成分と生薬の主成分の重複による過剰
・グリチルリチン酸と甘草:偽アルドステロン症→低カリウム血症、高ナトリウム血症、血圧上昇、浮腫、ミオパシー、脱力感、不整脈など(コルチゾールからコルチゾンへの変換阻害)。多方剤が甘草を含むのでグルタチオンへの変更が安心です。
・エフェドリンと麻黄:頻脈、興奮、不眠など(交感神経刺激作用の増強)。
②西洋薬と漢方薬の併用による不都合
・インターフェロンと黄芩:間質性肺炎(証が合わない、アレルギー反応)。
・交感神経刺激薬(キサンチン系製剤、カテコールアミン製剤、抗コリン薬、甲状腺製剤、モノアミン酸化酵素阻害薬)と麻黄を含む方剤:頻脈、興奮、不眠など(交感神経刺激作用の増強)
・ループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬と甘草:偽アルドステロン症(低カリウム血症の増強)。
西洋薬と漢方薬を併用する場合は、できるだけ飼い主様から西洋薬をお聞きして漢方調合するようにさせていただきます。当院では西洋薬と同時に服用指示をしていますが、ご心配では西洋薬と漢方薬の服用間隔を3~4時間空けていただければと思います。
なお、医療用漢方薬では、添付文書での人体に対する記載内容(効能効果・副作用・併用注意など)は保証されています。ただしツムラ学術部の適正情報提供では、in vitro の結果は in vivo の臨床での効能効果や再現性が不明、生薬の収穫時期・組み合わせ・水の違いなどで抽出成分が異なるので、全てのEBM を得るのは困難という返答です。そのため医学部の漢方教育テキストや医療用漢方薬の全添付文書には「漢方医学は西洋医学とは異なる概念を持つ医学である。患者の証(体質・症状)」を考慮して投与すること。」と記載されています。