犬 トイプードル 15才~現在17才 女の子
ころんちゃんは冬は腹巻きと3枚以上の重ね着をしているとっても寒がりな女の子。
妹犬が慢性腎臓病で亡くなり精神面から慢性大腸炎になり出血や粘液を伴う下痢が長期間続いた後に、腎数値が悪くなりました。心臓病や肺水腫の既往歴があり点滴をしない腎臓病治療として当院の漢方治療を受診されました。
当院の検査では慢性腎臓病ステージ3で超音波検査でやや小さく加齢が進んだ腎臓でした。
まず漢方治療と整腸剤で精神的な胃腸不調を整えることと、管理栄養士による食事相談でリン値を下げる調理法や腎臓に良い食材の選び方や体重維持の工夫を手作り食とフードでアドバイスをしました。
約2週間後には普通の硬さの便になり後ろ足で立つようになり、8ヶ月後にはジャンプしたり走ったりできました。
しかし寒くなった12月末に下痢や持病の慢性気管支炎や気管虚脱による咳が悪化すると同時に腎数値もステージ4まで悪化しました。かかりつけ医では皮下点滴を開始されネブライザーもされました。漢方治療では咳の原因となる東洋医学の腎(慢性腎臓病)と肺(慢性気管支炎)と脾(胃腸虚弱)を強化したところ、下痢は改善し咳も少なくなり腎臓病はステージ2~3を保ちました。
その後は、真夏の暑さや真冬の寒さなどでステージ4に時々悪化し、その度に漢方薬を微調整しながら腎機能を回復させて体重を維持できる工夫をしていました。循環器専門病院での診察でも心臓病は軽度のため腎臓負担になる降圧剤は不要の判断で徐々にやめていきました。西洋治療は2日に1回の皮下点滴のみとなりました。
17才になった頃から眠る時間が増えたり視力低下が進んだりしていますが、食欲は多く体重も増えて高齢なりに穏やかな日々を送っている様子です。
飼主様は薬膳に加えて中医学の勉強も始められたようで、ころんちゃんはますます健やかに暮らせていけそうですね。
☆東洋医学および最新の西洋医学でも、腎臓は臓器連関の要であり腎臓病は全身病として捉えています。そのため、漢方治療では様々な臓器の病状をコントロールしながら腎機能の安定に努めています。
国際獣医腎臓病研究グループの分類での犬の余命は、ステージ3で11.14ヶ月、ステージ4で1.98ヶ月の報告です。 ころんちゃんは基本的にはステージ3で26ヶ月(2年2ヶ月)経過しています。このように漢方治療では多くのペットが余命より元気で長生きできています。人でも同様の文献があります。https://www.kidney-international.org/article/S0085-2538(15)61041-9/fulltextの文献のFig2参照(英文です)