犬 ミニチュアピンシャー×チワワ 6才~現在8才 男の子
とあちゃんは、幼少時から体が熱めで、胃腸炎、気管支炎、角膜潰瘍、膿皮症など炎症性疾患を生じやすかったようです。
5才の夏に、ふるえる、食欲元気低下、撫でたりぶつかるとキャンと痛がる、びっこをひく、40.5℃の発熱、嘔吐の症状が続きました。全身検査の結果、非びらん性多発性関節炎、免疫介在性血小板減少症、持続性蛋白尿、多発性筋炎が当てはまり、全身性エリテマトーデスと診断されました。
ステロイド剤と免疫抑制剤によりCRP(炎症の値)と白血球がやや高値以外の検査値と症状も落ち着いていたが、減量するとコントロールできない状況でした。生涯にわたる高用量の免疫抑制療法による副作用をご心配されて、かかりつけ医にご相談の上、当院の漢方治療に来院されました。
全身性エリテマトーデスは、原因がまだ未解明で、遺伝が関与し、紫外線、感染症、薬剤、手術などがきっかけで免疫のバランスが崩れて発症すると推測されている自己免疫性多臓器疾患の難病です。
とあちゃんは、もともと炎症を生じやすい体質に加えて、発症する1~2ヶ月前に骨折の手術をして退院後に公園での川遊びがきっかけかもと推測しました。初診時に、朝のふるえ、体温が高い、幼少時から嘔吐・軟便になりやすいなどがありました。手術や紫外線などの熱毒により多臓器に炎症を生じて潤いが減り血流が悪いと診断し、熱を冷まして毒を排泄し潤いをつけて血流を改善する漢方薬を調合しました。
漢方治療を始めてからは、ふるえがなくなり、体温も徐々に平熱に下がり、下痢はなくなり、嘔吐も減りました。血液検査のCRPや白血球は高値~正常値を上下していて、時おり足がぶつかったり長時間日光に当たると足や体の痛みが一時的に増しCRPも上昇する傾向がありますが、毛艶が良くなり元気食欲が安定し体重も増えています。ステロイドは副作用が出にくい量まで減量できました。
最近は同居の犬たちと海へ泳ぎに行って休憩時は保冷剤で冷やしてたら症状が出なかったよという、飼い主様の報告にヒヤヒヤしている次第です。やはり紫外線だけは注意してほしいと心からの切なる願いです。