2022.05.12
漢方薬は数千年の人体の臨床経験を通じてほぼ安全なものに淘汰されています。
医療用漢方薬使用において、獣医東洋医学研究会(現比較統合医療学会に改名)では30年以上、私の臨床経験でも15 年以上、真の副作用や西洋薬との相互作用の問題は出ていません。ただし中毒予防のため百合を含む辛夷清肺湯のみ猫に与えていません。
数千年続く東洋医学的診断の証を基に漢方薬選択すると有害作用は生じにくく感じています。
*語句説明:生薬とは自然界に存在する植物・動物・鉱物などの薬用部分。甘草など
方剤とは生薬を原則として2 種類以上組み合わせた薬。葛根湯など
1)証(東洋医学の診断名)が合わない
証を見直して漢方薬の種類や量を変更すると治ります。想定可能。
【例】 嘔吐、軟便、食欲低下、寒がる、暑がるなど。
胃腸障害の発症が多い生薬は、地黄、当帰、丹参、麦門冬、石膏など、補血薬、活血薬、滋陰薬、清熱薬。
2) 瞑眩(めんげん)
慢性難治性疾患が治癒する過程で見られる一過性の症状憎悪の好転反応。想定可能。
【例】 軟便、尿量増加、皮膚湿疹の悪化など。
3) 真の副作用
生薬への過敏(アレルギー)反応によるもの。想定不可能。
【例】 人医療に準じて注意して漢方調合しています。
・偽アルドステロン症[低カリウム血症、高ナトリウム血症、血圧上昇、浮腫、ミオパシー、脱力感、不整脈など]:甘草(用量依存性があるが個人差も大きい)
・間質性肺炎:黄芩(特に肝硬変)
・薬剤性肝障害:黄芩
・心血管系症状[頻脈、暑がるなど]:麻黄(特に循環器疾患)、附子(特に高血圧、頻脈)
・薬疹[発疹、掻痒、発赤]:桂皮、当帰、黄芩
・腸間膜静脈硬化症:山梔子