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犬(ピッチちゃん)のキアリ奇形を伴う脊髄空洞症とてんかんの漢方治療

2022.01.25

犬 チワワ 10才 女の子

ピッチちゃんは、先天的な頭の骨の発育障害(キアリ奇形または後頭骨形成不全)により、脳脊髄液が流れにくくなり脊髄に異常な液体がたまる病気(脊髄空洞症)という難病を患っています。

4才の時に、MRI検査で診断され、ステロイド剤と脳圧降下剤で症状を抑えていたそうです。7才の時に、脳神経に詳しい病院でてんかんもあると診断され、抗痙攣薬を併用し始めて少し動けるようになりました。10才の時に、麻痺が始まり、経験豊富な脳神経外科医は先天性では改善しにくく外科手術でも悪化の可能性があり、徐々に寝たきりになり水頭症を併発していく見解を示されました。

その2日後に当院へ来院された時は、首の痛みが気になるためかテーブルに上ったりジャンプしなくなり、前足が開き気味、首や眼をかく、少しの物音でビクッとなる、よろつく、手足先が内向きに丸まる(ナックリング)、夜に動き回るなどの脳神経症状がありました。

ピッチちゃんの東洋的と西洋的な病態を解析したところ、脳脊髄液の水分代謝が滞り脳血流も低下していると判断し、脳を主体とした水分代謝と血流を改善する漢方薬を処方しました。

2週間後の再診時には症状の多くが改善傾向にあり、2ヶ月後には全ての脳神経症状はなくなり小走りできるようになりました。初診から3ヶ月後の現在は、治りにくかった角膜潰瘍も改善し、血尿もでなくなり、皮膚もきれいになりました。ステロイド剤も始めは4日に1回でしたが今は6日に1回に減量中です。

ピッチちゃんが元気になると共に飼い主様も明るい毎日を過ごされているご様子にとても嬉しく思っています。

 

*脊髄空洞症、水頭症、肉芽腫性脳脊髄炎などの脳神経疾患は、東洋医学の効能が出やすいと思われます。西洋薬と異なり脳へ届く漢方薬の種類は多いため、ステロイド剤や免疫抑制剤に頼らなくてもコントロールできる場合もあり、9割以上で西洋薬の減量を行っています。人医療の脳神経科では10年以上前から漢方薬を汎用されていて薬理研究も進められています。ペット医療界での活用も広がることを願っています。

 

当院について

みのり動物病院

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