2021.12.10
犬 トイプードル 16才 女の子
プードルちゃん(仮名)は、緊張すると震える癖がある女の子です。
2ヶ月前から他院で点滴を続けても腎機能の回復がなく、1ヶ月前にはCRE5.10 BUN140以上のステージ4となり腎不全で予後が短いと宣告されたため、苦しまずに旅立てるように当院の漢方治療を希望されました。
当院初診時は、食欲がなく朝の元気がなく、幼少時から週数回ある嘔吐は1日1~3回、気管虚脱による空咳もほぼ毎日見られました。リン6.7 SDMA68の高値に対して漢方煎じ薬の直腸透析を試みましたが、胃腸虚弱のためか嘔吐下痢が目立つようになり中止しました。
漢方内服薬と皮下点滴を週2回ペースで行うと、1週以内に食欲元気は回復しました。食後にゲップをさせて胃潰瘍治療の漢方内服薬で嘔吐も徐々にほとんど出なくなり、咳も徐々に少し落ち着きました。
病状全体が落ち着くと共に皮下点滴も週1回から10日に1回に減らし、初診から7ヶ月後の血液検査ではCRE2.09 BUN61.8 リン5.1 SDMA36のステージ2近くまで数値も下がりました。
2.6kgまで減少した体重も3kgを超えるようになり、季節変わり目に嘔吐が再発気味のため食べ過ぎを飼い主様は気にされている様子です。楽しい毎日が続いているようで旅立つのはまだまだ先になりそうです。
*高齢のペットのステージ4の腎不全では、直腸透析でなくても全身的な漢方診断を的確に行えば漢方内服薬でも腎機能がゆっくり回復する傾向があります。今回のプードルちゃんは、胃腸虚弱と水分代謝異常を改善することで腎機能が回復しました。