2020.05.14
漢方に関する医学には数種類あり、理論や診断方法が異なることをご存じでしょうか? 代表的なものを挙げると、
中医学:古代~現代までの中国の伝統医学。薬物(中薬)、鍼灸、薬膳、気功などを含む。
漢方医学:中医学を基に、主に奈良時代~江戸時代に日本で独自に発展した日本の伝統医学。現代では薬物(漢方薬)療法を指す。
韓医学:中医学を基に、韓国で発展した韓国の伝統医学。薬物(韓薬)、鍼灸などを含む。
EBM漢方:西洋医学で重要視されるエビデンス(科学的な治療効果)に基づいた新しい分野。薬物を指す。
あるセミナーで興味深かったのが、同じ人の症例に対して中国、日本、韓国の名医の診察で異なる種類の漢方の提案になったらしい。
漢方で治す道順は様々あってよいのだと思いました。
ペット漢方の医学は世界的に歴史が浅く、日本でも獣医師向けに数年前からペット中医学や中獣医学を教える所が出ていますが、いずれも人医療の中医学をベースにしています。今のところ獣医界で日本の漢方医学をしっかり学べる所がないのが残念です。
私自身は、15年あまりの人医療での学びを生かし、明確な理論があり複雑な難病に対応しやすい中医学の考え方を主体に、西洋医学の病態・検査結果や漢方エビデンスを補助的に、漢方処方を組んでいます。
2020.5.4