私の漢方治療方法を説明します。
初診前と初診時に時間を要する理由を知っていただきたいので。
複雑な難病で重病が多いので初診から治療結果が出るように下準備の病態解析に時間をかけています。
事前に送っていただいた初診問診票の幼少時からの病状や西洋検査データなどを解析して、現在の病気に至った根本原因を見極めておきます。また、多彩で複雑な病状を整理して聞き慣れない病名(教科書にない病名では論文や大学に問い合わせることも)を調べ、西洋的病態から東洋的病態を描いておきます。これらに30分~2時間以上要することもあります。
次に初診時には、初診問診票に沿って飼い主様に質問を重ね、舌診・脈診を含んだ漢方特有の診察、必要があれば血液検査やエコーなどの西洋検査を行います。1時間~1時間半、要します。
事前に描いておいた東洋的病態と重ねて、弁体質(体質診断)で病気が生じた原因と、弁病(病気診断)で病気の共通した特徴と、弁証(症状診断)で個体差の病状の3本柱から、先を見据えた診断と治療方針さらには再発予防計画を立てます。
後は、診断に沿った漢方薬を選ぶだけです。煎じ薬だけはオーダーメイドで作るのに時間を要します→ペットの煎じ薬をご覧下さい。必要と判断した場合は、当院または他院での西洋治療の併用を提案させていただきます。
2週間~1ヶ月毎(病状安定では3ヶ月毎)の再診時は、病状変化に合わせて漢方薬を微調整していき、自己調整力が出るのを待つのみです。20~30分くらい。
複雑な慢性疾患の上、長期にわたる西洋治療で体全体のバランスを崩しているので、回復には1~2ヶ月要することも多いのです。
長期の漢方服用時は、年に1回は血液検査等で病状回復程度を確認して、翌1年間の検査内容や減薬希望の確認を行います。
漢方薬で補える場合はサプリや西洋薬は飼主様と連携医の同意でやめていくこともあります。体質改善すれば漢方薬もやめていきます。
ただし加齢の病状に合わせて漢方調整すると元気や若さを保つようで、高齢では継続されて長いお付き合いになることが多いです。
なぜ難病が治るかは、漢方の考え方に沿って丁寧に根気よく治療すると、ペット自身が自己治癒力を回復し
病気を治していくのです。
2020.5.5